「契約書を作ったほうがいいのは分かるけれど、どこまで必要なの?」
「今まで口約束で仕事をしてきたけれど、契約書を作ったほうがいい?」
「相手から契約書を渡されたけれど、何を確認すればいい?」
事業を行っていると、契約書についてこのような疑問を持つことがあります。
契約書は、単に形式的な書類ではありません。
契約当事者がお互いに合意した内容を明確にし、後から認識の違いが生じることを防ぐための重要な書類です。
今回は、中小企業や個人事業主の方が契約を結ぶ際に確認しておきたいポイントについて、行政書士の視点から分かりやすくご紹介します。
契約書はなぜ必要?
契約は、原則として当事者双方の合意によって成立します。
そのため、必ずしも契約書がなければ契約が成立しないわけではありません。
しかし、契約書がない場合、
「そんな条件だとは聞いていない」
「支払期限はもっと早いと思っていた」
「ここまで業務に含まれるとは思っていなかった」
といった認識の違いが生じる可能性があります。
契約書を作成しておけば、契約前に条件を整理し、当事者双方が何について合意したのかを明確にすることができます。
つまり、契約書にはトラブルが起きた後のためだけではなく、トラブルを未然に防ぐための役割があります。
「信頼関係があるから契約書はいらない」は危険?
長く付き合いのある取引先や、知人から仕事を依頼された場合、
「お互いに信頼しているから契約書はいらない」
と考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、信頼関係があるからこそ、契約条件を明確にしておくことには意味があります。
契約書を作成することで、
「この条件でお願いします」
という内容をお互いに確認できます。
また、担当者が変わった場合や、時間が経過した場合にも、当時どのような条件で合意したのかを確認できます。
契約書は、相手を疑うためのものではなく、お互いの認識を合わせるためのものと考えると分かりやすいでしょう。
契約書で特に確認したいポイント
契約書を作成するとき、または相手から契約書を提示されたときには、次のような点を確認しておきましょう。
① 何を依頼するのか
まず重要なのが、業務の範囲です。
例えば、
「ホームページ制作」
という契約であっても、
・どこまで制作するのか
・修正は何回まで含まれるのか
・写真や文章は誰が用意するのか
・公開後の修正は含まれるのか
など、具体的な条件によって内容は大きく変わります。
「何をする契約なのか」をできるだけ具体的にしておくことが重要です。
② 報酬はいくらなのか
報酬についても、契約書で明確にしておきたい項目です。
・報酬額
・消費税の扱い
・支払期限
・支払方法
・振込手数料の負担者
・追加作業が発生した場合の費用
などを確認します。
特に、当初予定していなかった追加作業が発生する可能性がある場合には、追加料金が発生する条件についても決めておくと安心です。
③ 納期・業務期間
「いつまでに業務を完了するのか」も重要です。
業務委託の場合は、
・契約期間
・納期
・納品方法
・検収の方法
・検収完了の時期
などを明確にしておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
④ 契約を終了するときの条件
契約を始めるときは、
「うまくいかなかったらどうするのか」
についても考えておく必要があります。
例えば、
・契約期間満了
・当事者双方の合意による解除
・一方の当事者からの解除
・契約違反があった場合の解除
など、契約を終了する条件を確認します。
特に長期間の契約では、途中で契約を終了する場合のルールを確認しておくことが重要です。
⑤ 損害賠償について
契約違反などによって相手に損害が発生した場合、損害賠償に関する規定が問題になることがあります。
契約書に、
「損害が発生した場合、すべて賠償する」
といった内容が書かれている場合には、どのような場合に責任を負うのか、賠償額に上限が設定されているのかなどを確認する必要があります。
特に事業規模に対して非常に大きな責任を負う内容になっていないかは、注意したいポイントです。
⑥ 秘密保持について
取引の中で、顧客情報や営業情報、技術情報などを共有する場合には、秘密保持について定めることがあります。
何を秘密情報とするのか、誰がどのように管理するのか、契約終了後も秘密保持義務が続くのかなどを確認しておきましょう。
⑦ 著作権などの権利関係
ホームページ制作、デザイン、写真、文章、システム開発などでは、成果物の権利を誰が持つのかが重要になります。
例えば、
「制作費を支払ったから、著作権も当然に自分のものになる」
とは限りません。
契約書において、著作権などの知的財産権を誰に帰属させるのか、利用できる範囲はどこまでなのかを確認することが大切です。
契約書は「相手から渡されたものをそのまま使う」だけではない
契約書というと、
「相手から提示されたものにサインする」
というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、本来は契約を締結する前に、自分にとって不利な条件がないか、希望する条件がきちんと反映されているかを確認することが重要です。
特に、
「思っていたより業務範囲が広い」
「解約できる条件が厳しい」
「損害賠償の範囲が広すぎる」
「成果物の権利をすべて相手に渡す内容になっている」
といった場合には、契約前に内容を確認する必要があります。
個人事業主も契約書を活用しましょう
契約書は、大企業だけに必要なものではありません。
個人事業主やフリーランスの方でも、
・業務委託を受ける
・制作業務を請け負う
・コンサルティングを行う
・継続的な取引を行う
・外部の事業者へ業務を委託する
といった場合には、契約条件を明確にしておくことが重要です。
特に、口頭やチャットだけで仕事を進めている場合には、一度契約内容を整理してみることをおすすめします。
契約書は「トラブルになったとき」のためだけではありません
契約書というと、
「相手とトラブルになったときに使うもの」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、契約書の大きな役割は、トラブルを防ぐことです。
契約を締結する前に条件を整理することで、
「これは契約に含まれているのか?」
「追加料金は発生するのか?」
「いつまでに支払うのか?」
「途中でやめることはできるのか?」
といった疑問を事前に解消できます。
契約書を作成することは、相手との信頼関係を壊すことではありません。
むしろ、お互いが安心して取引を続けるためのルールを明確にすることにつながります。
契約書について行政書士に相談できます
「契約書を作りたいけれど、何を入れればいいのか分からない」
「自社の業務に合った契約書を作りたい」
「相手から契約書を提示されたけれど、内容がよく分からない」
このような場合には、行政書士に相談することができます。
行政書士は、契約書などの権利義務・事実証明に関する書類の作成を業務として取り扱っています。
当事務所でも、事業者の方の取引内容や業務内容を伺い、必要な事項を整理したうえで、契約書作成などのサポートを行っています。
「契約書が必要かどうか分からない」という段階からのご相談も可能です。
まとめ
契約書は、単に形式的に作成する書類ではありません。
契約内容を明確にし、お互いの認識の違いを防ぎ、安心して取引を行うための重要なツールです。
特に、
・業務の範囲
・報酬・支払条件
・納期・契約期間
・契約解除の条件
・損害賠償
・秘密保持
・著作権などの権利関係
については、契約前に確認しておきたいポイントです。
契約書について「何を確認すればいいのか分からない」「自社に合った契約書を作りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
事業内容や取引の実態に合わせて、契約条件を整理するところからサポートいたします。
※本記事は契約書に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の契約についての法的判断を行うものではありません。具体的な法的紛争や法律事務については、必要に応じて弁護士等の専門家へのご相談をおすすめします。

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