成年後見制度は、とても大切な制度です。
しかし私は、ご相談の段階で安易に後見を勧めることはしていません。
それは、後見を始めることで
ご本人・ご家族の生活が「楽になる」とは限らないからです。
後見は「一度始めると、簡単にはやめられません」
成年後見制度は、家庭裁判所が関与する制度です。
一度開始すると、
- 原則として途中でやめることはできません
- 重要な判断は後見人が行うことになります
- 財産の使い方にも一定の制約が生じます
これは、ご本人の権利を守るためである一方、
ご家族にとっては「想像以上に重い仕組み」になることがあります。
「今すぐ後見でなくてもよい」ケースも多くあります
実務の中で、次のようなケースは少なくありません。
- 預貯金の管理は家族で問題なくできている
- 契約行為は当面予定がない
- 判断能力は少し低下しているが、日常生活は安定している
このような場合、
後見以外の方法で対応できる可能性があります。
例:
- 任意後見契約
- 見守り契約
- 家族による管理+将来に備えた準備
「今は不要」「将来に備える」という選択も、立派な判断です。
後見を使うことで生じる“現実的な負担”
制度の説明ではあまり語られませんが、
後見人がつくと、次のような現実があります。
- 毎年の財産報告書の提出
- 家庭裁判所への定期的な報告
- 大きなお金の動きには事前の確認が必要
- 「家族だから自由にできる」状態ではなくなる
これらは制度上当然のことですが、
始めてから「思っていたのと違う」と感じる方が多いのも事実です。
Lily法務事務所の考え方
当事務所では、
- 後見が本当に必要か
- いつ始めるのが適切か
- 他の選択肢はないか
を、必ず一緒に整理してから次のステップを考えます。
「後見を勧めない」という判断になることもあります。
それは決して消極的な対応ではなく、
ご本人とご家族にとって最善だと考えるからです。
それでも後見が必要なときは
もちろん、
- 高額な契約行為が必要
- 親族間での管理が難しい
- 既にトラブルが生じている
このような場合には、
後見制度が強く支えになることもあります。
その際は、
制度のメリット・デメリットをすべてご説明した上で
慎重に進めていきます。
まずは「制度を使うかどうか」の相談から
「後見を申し込むかどうか決めていない」
「話を聞いてから考えたい」
その段階でのご相談も、まったく問題ありません。
成年後見は、
人生の大切な選択に関わる制度です。
焦らず、一緒に考えていきましょう。

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